1人のエンジニアがAIを日常にどう組み込んでいるか — 契約サービスから活用フローまで全公開
AIを「コード補完ツール」程度にしか使っていないエンジニアは多いのではないだろうか。筆者は現在5つのAIサービスを契約し、開発・情報収集・ブレスト・設計・音声入力・振り返りと、日常のあらゆる場面にAIを組み込んでいる。この記事では、契約しているサービスの一覧と使い分け、それぞれの具体的な活用フローをそのまま公開する。
契約しているAIサービス一覧
まず前提として、筆者が現在契約しているAIサービスを紹介する。
| サービス | プラン | 月額(目安) | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| Claude Code | Max Plan | $100 | 開発(レビュー・設計壁打ち・オーケストレーション) |
| ChatGPT | Plus Plan | $20 | 開発(Codexによる実装)・Deep Research |
| Gemini | — | ¥2,900 | リサーチ・Deep Research・NotebookLM連携 |
| Aqua Voice | — | $10 | AI音声入力(LLMとの対話全般) |
| Adobe Creative Cloud | — | 約¥5,000 | 画像生成・動画生成(Firefly) |
※ 料金は2026年2月時点の情報。
合計すると月額2万円強になる。決して安くはないが、開発効率の向上と情報収集にかかる時間の短縮を考えると、十分なリターンがあると感じている。
Claude Code — Max Plan($100/月)
筆者のメインツール。開発におけるコードレビュー、設計の壁打ち、そして後述するAI Orchestraのオーケストレーターとして稼働している。モデルはOpus 4.6を中心に使用。つい先日Sonnet 4.6がリリースされたので、比較的シンプルなタスクにはこちらを取り入れることも検討中だ。
ChatGPT — Plus Plan($20/月)
主にCodex(コード生成・実装タスク)とDeep Researchで使用。開発では実装部分をCodexに任せるケースが多い。
Gemini(¥2,900/月)
リサーチ用途がメイン。Deep Researchの選択肢の1つとして使うほか、NotebookLMとの連携で学習コンテンツの生成にも活用している。
Aqua Voice — AI音声入力($10/月)
音声入力に特化したAIサービス。まさにこの記事もAqua Voiceで音声入力しながら書いている。技術用語の認識精度が高く、「Claude Code」「NotebookLM」「エージェンティックコーディング」といった単語もほぼ正確に拾ってくれる。
Adobe Creative Cloud — Firefly付き(約¥5,000/月)
Creative Cloudを契約するとAdobe Fireflyが付属する。画像生成や動画生成などのクリエイティブ系AI機能が使えるため、ブログのアイキャッチ画像やちょっとした素材の生成に活用している。
過去に使っていたサービス
以前はNotion AIやGitHub Copilotも契約していた。ただ、Claude Codeのエージェンティックコーディングの方が自分の開発スタイルに合っていたのでCopilotは解約。Notion AIも現在のワークフローでは出番が減ったため一旦やめている。いろいろ触ってきた上で、今の5サービスに落ち着いた。
開発 — AI Orchestraによるエージェンティックコーディング
AI活用のメインは開発だ。個人でプロダクトの開発を進めており、そこにAIを全面的に組み込んでいる。
自作のAI Orchestraシステム
以前ブログ記事でも紹介したが、「AI Orchestra」というシステムを自作している。複数のAIモデルに役割を分担させて開発を進める仕組みで、いわゆるエージェンティックコーディングを実現するものだ。
単にAIにコードを書かせるだけではなく、設計・実装・レビューという開発プロセス全体をAIに担わせる。人間(自分)はオーケストレーターとして方向性を示し、AIがそれを具体化する——という協働スタイルで開発している。

Codexで実装、Claude Code Opus 4.6でレビュー・設計壁打ち
現在の役割分担は以下の通りだ。
| 役割 | 担当 |
|---|---|
| 実装(コーディング) | ChatGPT Codex |
| レビュー・品質チェック | Claude Code(Opus 4.6) |
| 設計の壁打ち・方針決定 | Claude Code(Opus 4.6) |
実装をCodexに任せ、その成果物をClaude Codeでレビューする。設計で迷ったときもClaude Codeに壁打ちする。1人開発でもレビュアーと設計相談相手がいる感覚で進められるのが大きなメリットだ。
Sonnet 4.6の登場と今後のフローへの取り込み
つい先日、Claude Sonnet 4.6がリリースされた。ベンチマークを見る限り性能がかなり向上しているようで、AI Orchestraのフローに組み込むことを検討中だ。深い推論が必要な場面はOpus 4.6、比較的シンプルなタスクはSonnet 4.6——という使い分けができれば、コスト効率と速度の両方が改善できそうだ。
情報収集 — AIで日次キャッチアップを自動化
開発と並ぶ大きな活用領域が情報収集だ。日々のキャッチアップはほぼAIに任せている。
スキルを使った日次クローリング
自分が気になっている技術や、定期的にチェックしたい企業のテックブログなどを、Claude Codeの「スキル」として事前に登録している。スキルを実行すると、設定済みのソースを元にAIがクローリングし、記事を引っ張ってきてくれる。
取得した記事はMarkdown形式で一覧出力される。毎日業務の終わりにこの一覧を眺めるのが日課になっている。
URL Digestスキルで記事を一括要約
クローリングした一覧の中から気になる記事をピックアップする。とはいえ、10記事すべてを1つ1つ読み込むのは時間がかかる。
そこで「URL Digest」というスキルを使う。気になる記事のURLをまとめてコピーし、スキルに貼り付けて実行するだけ。各記事の内容が5行程度に要約されて返ってくる。
その要約を読んで、さらに気になるものだけ実際の本文を読みに行く。このフローのおかげで、情報収集にかける時間が大幅に短縮された。
日次の情報収集フロー:
日次クローリング(スキル実行)
↓ Markdown一覧を出力
気になる記事をピックアップ
↓ URLをまとめてコピー
URL Digest(スキル実行)
↓ 各記事を5行に要約
さらに気になる記事だけ本文を読む

Deep Researchで技術を深掘り → NotebookLMでインプット
特定の技術をさらに深く知りたいときはDeep Researchを使う。Gemini、Claude、ChatGPTのいずれにもDeep Research機能があり、テーマを投げるとWeb上の情報を幅広く調査してレポートにまとめてくれる。
最近だと、tmux(ターミナルのセッション管理ツール)について深掘りした。CLIでの開発環境を改善するため、tmuxの詳細な使い方や設定方法を調査させた。
Deep Researchの調査結果は、GoogleのNotebookLMに投入する。NotebookLMは投入した内容をもとにポッドキャスト形式の音声コンテンツを生成したり、クイズ形式の問題集を作ったりできる。調査内容を耳からも定着させられるので、インプットの効率が上がる。
エージェントチームで多角的な比較・討論
Claude Codeの「エージェントチーム」機能も活用している。複数のサブエージェントをチームとして生成し、それぞれに異なる役割を与えて並列で動かす——いわばマルチエージェントシステムだ。
例えば「GeminiとChatGPTとClaude Codeを比較したい」とき。それぞれのサービスの立場に立つエージェントを3つ用意し、ファシリテーター役を1つ加えて、合計4エージェントで討論させる。
Claude Code視点のエージェントが強みを主張すると、ChatGPT視点のエージェントが反論する。ファシリテーターがそれを整理し、各サービスのメリット・デメリットをまとめてくれる。
この「AIに議論させる」アプローチはかなり面白い。自分1人で比較表を作るよりも多角的な視点が得られる。技術選定に限らず、さまざまな場面で応用できる手法だと感じている。
ブレスト・思考整理 — AIとの対話でアイデアを広げる
開発や情報収集に加えて、ブレストや思考整理にもAIを活用している。
Notionに書き殴っていた思考をAIで構造化
以前はNotionに自分の思考や考えをバーッと書き殴って、そのまま残すだけだった。記録にはなるが、後から見返しても整理されておらず活用しづらい。
現在はAIと対話しながらブレストを進めている。自分の考えをざっくり伝えると、AIが構造化してまとめてくれたり、別の切り口を提案してくれたりする。
自分では出てこない視点が得られる
ブレストでAIを使う最大のメリットは、自分だけでは出てこない視点が得られることだ。思考が煮詰まっているときに「こういう観点はどうか」と投げかけてもらえるだけで、思考が動き出すことがある。
AIは「答えをくれる存在」というより「壁打ち相手」に近い。
設計・要件定義 — 業務でのAI活用
コードを書く以外にも、設計フェーズでAIをがっつり使っている。
要件定義・詳細設計・技術調査にAIを投入
要件定義、詳細設計、技術調査——こうした「考える系」の作業にAIを投入している。
- 要件定義: 要件の洗い出しや抜け漏れチェックをAIに依頼
- 詳細設計: 設計案を壁打ちし、トレードオフの整理や代替案の提示を受ける
- 技術調査: 採用候補のライブラリやアーキテクチャパターンの比較を調べさせる
この辺りは多くのエンジニアにとってもイメージしやすい活用法だろう。「AIに聞いて課題を整理する」という使い方は、手軽かつ効果が高い。
音声入力 — Aqua Voiceでキーボードいらずの開発
AI活用の中で、地味だが日常を大きく変えたのが音声入力だ。
LLMとの会話はほぼ音声入力
LLMとのやりとりはほぼすべてAqua Voiceの音声入力で行っている。最近はキーボードに触れる時間がかなり減った。
AI音声入力サービスはいくつかあるが、自分が試した中ではAqua Voiceが最も使いやすい。技術用語の認識精度の高さが決め手だ。
「喋りながら開発する」スタイル
音声でAIと対話しながら、「ああでもない、こうでもない」と喋って開発を進めるスタイルが定着しつつある。キーボードでプロンプトを打つよりも、思考のスピードに近い速度でAIに指示を出せるのが大きい。
この記事もAqua Voiceで書いている
ちなみに、この記事自体もAqua Voiceで音声入力しながら作成した。自分の活用事例を喋って、それをAIに記事として整形してもらう——まさにAI活用の実践例そのものだ。

その他の活用 — ブログ執筆・週次レビュー
ここまで紹介した以外にも、いくつかの場面でAIを活用している。
AIを使ったブログ記事作成
今読んでいるこの記事のように、ブログの執筆にもAIを使っている。構成の検討から下書きの生成、校正まで、AIと協力しながら進めている。
日次日記 → 週次・月次レビューのAI分析
日々の軽い振り返り——今日何をやったか、何ができなかったか——を日記としてつけている。それを週単位でAIに投げて分析し、次のアクションを提案してもらう。
「今週はタスクAに時間を取られすぎて、タスクBが進んでいない。来週はタスクBを優先すべきでは?」——こうした提案に沿って日々のタスクの優先順位を調整している。月次でも同様に、1ヶ月分の振り返りをAIに分析させて長期的な視点でのアクションを検討している。
今後の展望
現在のAI活用はここまでだが、さらに広げていく構想がある。
OpenClawを使った自動化の構想
最近話題のOpenClawが気になっている。将来的には、今手動で行っている自動化フローの一部をOpenClawに任せたいと考えており、そのための準備を進めている段階だ。
AIとの協働はまだまだ発展途上で、新しいツールやモデルが出るたびにワークフローが進化する。その変化を楽しみながら、自分のスタイルをアップデートし続けていきたい。
まとめ
筆者のAI活用を振り返ると、以下のようになる。
| 活用領域 | 使っているサービス |
|---|---|
| 開発(実装・レビュー・設計) | Claude Code + ChatGPT Codex |
| 情報収集(日次クローリング・要約・Deep Research) | Claude Code + Gemini + ChatGPT + NotebookLM |
| ブレスト・思考整理 | Claude Code |
| 設計・要件定義 | Claude Code |
| 音声入力 | Aqua Voice |
| クリエイティブ(画像・動画生成) | Adobe Firefly |
| ブログ執筆 | Claude Code + Aqua Voice |
| 週次・月次レビュー | Claude Code |
AIは「コードを書かせるツール」ではなく、日常全体のパートナーになりつつある。1つのサービスに閉じず、複数を用途別に使い分けることで、単体では実現できないワークフローが構築できる。
この使い方が万人にとって最適とは限らない。ただ、「こういう使い方をしているエンジニアもいる」という1つの参考になれば幸いだ。
FAQ
Q. AIサービスに月いくらかかっている?
合計で月額2万円強。Claude Code Max Plan($100)、ChatGPT Plus($20)、Gemini(¥2,900)が主な出費で、これにAqua Voice($10)とAdobe CC(約¥5,000)が加わる。開発効率の向上と情報収集の時間短縮を考えると、十分なリターンがあると感じている。
Q. GitHub Copilotをやめた理由は?
Claude Codeのエージェンティックコーディングの方が自分のスタイルに合っていた。Copilotの行・関数単位の補完より、タスク単位で丸ごと任せられる方が効率的だった。
Q. AI Orchestraの詳細は?
以前ブログ記事で紹介している。複数のAIモデルに役割を割り振り、開発プロセス全体を協調させる仕組みだ。詳細はそちらを参照してほしい。
Q. 音声入力の精度はどのくらい?
Aqua Voiceは技術用語の認識精度が高く、日常の開発会話レベルであればほぼストレスなく使える。ただし、非常にニッチな固有名詞は修正が必要なこともある。
Q. AIに依存しすぎるリスクはない?
ある。基礎的な技術力や思考力は自分で維持する必要がある。AIはあくまで「思考を加速するツール」であり、最終判断は自分で行うという意識が重要だ。AIの提案を鵜呑みにせず、自分の頭で検証する習慣は意識的に保つようにしている。
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